専門分野の深化を図る「30代キャリア」

より幅広い技術を学び続け、
港湾分野の技術者集団をつくる。

PROFILE

福岡支店 設計1部課長

帖佐 繁明

2011年入社

技術士
建設部門(港湾及び空港)

希望する分野は、就職してから考える

学生時代は理数系が得意で、大学は工学部へ進学。最初は建築分野にも興味がありましたが、土木の講義を受けるうちに、何もないところから社会資本になる巨大な構造物を造り出す土木分野が面白くなってきました。そこで将来の目標を建設コンサルタントと定め、土木関連の研究室へ。ここでは巨大な水槽の中で津波を発生させる水理実験を行い、津波発生のメカニズムに関する研究をしていました。とはいえ、就職後も波関連の業務に就きたいという明確な希望を持っていたわけではありません。就職したら最初はさまざまな分野の仕事を経験し、その中から自分が本当にめざしたい技術分野と、なりたいと思える技術者像を見つけようと思っていました。

震災復興を通じて港湾の
計画に興味を持つ

ところが私が入社する直前、東日本大震災が発災。その後、震災復興業務のため、中央コンサルタンツの仙台支店には全国の支店から多くの技術者が集まりました。それでも次から次へと発生する震災復興業務に人手が追い付かず、福岡支店の入社1年目の私も復興業務を担当することになったほどです。最初は技術的なこともよく分からず、先輩から言われた通りに復旧図面の整理・作成をしていました。他にも福岡支店の業務もあり、とにかく入社当初は忙しい日々でした。しかしその分、入社して2年ほどでさまざまな分野を経験することができました。この頃から、物事を幅広い視野から考える計画分野、中でも港湾に興味を持つようになりました。

スリットケーソンの
維持管理方法を確立する

その後は希望通りに港湾の業務を担当させてもらいました。特に印象に残っているのは、入社5~6年目に担当したスリットケーソンの維持管理の業務。もともとスリットケーソンの耐久期間は50年でしたが、設置から40年でかなり劣化が進んでいるという報告が数多く寄せられるようになっていたのです。ところが当時は点検・診断の方法が確立されておらず、国のガイドラインにも記載されていませんでした。そこで私が必要な調査項目や調査手法、診断方法などを検討し、健全な維持管理を行う方法を提案しました。その後、国土交通省のメンテナンス技術の研究発表で、私が提案した維持管理方法が紹介されていると知り、とても嬉しく思いました。

技術継承と共育

これまでは業務の担当者として港湾施設の設計や維持管理の業務に従事してきましたが、現在は課長という立場になり課の運営管理を行いながら港湾業務に携わっています。私の役割はこれまで培ってきた港湾分野の技術や顧客(おきゃくさま)との関わり方、様々な関係者とのネットワークを後進の技術者に継承していくことだと思っています。そのために私が心掛けていることは、課員とよく会話すること、すなわちコミュニケーションをとることです。私自身も日々の業務の中で分からないこと、習得していない技術や知識は当然あるため、課員とよくコミュニケーションをとり、相談しやすい環境を作ると共に、一緒になって考え、学び、育む「共育」を実践しています。

組織の力で港湾の未来を考える

港湾は防波堤や護岸の整備だけではなく、港湾に接続する道路や橋梁などを含めた土木のあらゆる分野や、時にはエネルギー関連や物流関連などの知識も必要になります。つまりは港湾に特化した専門技術だけでなく、他の分野の技術・知識を有し、それらをまとめるリーダーシップをもつ技術者が求められます。加えてこれから少子化が進み、ますます技術者が不足していくことを見据えて、港湾業務においても生産性の向上や働き方を考えていかなければなりません。私の今の目標は、より幅広い技術を部下と共に学び、社会情勢の変化やあらゆる顧客、ひいては港湾を利用する国民のニーズに柔軟に対応できる技術者集団を作っていくことです。