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土木業界研究 その3 これからの時代の社会資本整備〜防災・減災、地方創生〜

ここまで、土木業界での仕事を「業務領域」と「仕事の醍醐味」というテーマで見てきました。最後のトピックは、今後の未来について。土木を志す人にとっては今後数十年、大きなテーマとなる話です。

現在、土木政策の大きな柱に「防災・減災」「地方創生」があります。この2つのテーマを軸に、これからの時代が何を社会資本整備に求めていくのかを知っておきましょう。ナビゲーターは、取締役 天野清光。建設コンサルタント歴30年のベテラン技術士です。

— 今、日本の土木業界の2大テーマが「防災・減災」と「地方創生」だということですが、その背景について教えてください。

天野:日本が、戦後のめざましい国土の復興から経済の急激な成長を経てきたことはご承知の通りです。そんな日本で今、不便を感じることなく豊かな生活ができているのは、先人である土木技術者たちが、充実した社会資本を築き上げてきたからにほかなりません。

成熟社会に到達した日本で今、それらの社会資本が新たな課題に直面しています。ここ数年、大規模な地震やゲリラ豪雨といった大きな自然災害が多発しています。一人でも多くの生命を守るべく、「防災・減災」を目指したインフラ整備が急務です。

また、人口減少や少子高齢化に伴って地域社会の衰退が顕著です。2015年に入ってからは「国土の強靱化」に加えて、「地方創生」というキーワードが飛び交っています。人が減っていく将来に向けて、いかにまちを効率良くコンパクト化していくか。重要な課題です。

社会資本整備を担う私たちは、時代を意識した新たな価値と機能を備えた、次世代に胸を張って残せるインフラ整備に、より一層の力を注いでいく必要があるのです。

— たとえば「防災・減災」に関する、具体的なプロジェクトの事例があれば教えてください。

天野:「防災・減災」で言うと、たとえば災害がおこった際の住民の避難所となる、コミュニティセンターなどの公共施設の維持管理が重要視されています。

なくてはならない施設なのですが、建物そのものが古びていたり、土地が低い場所に位置しているなどの問題があれば、避難する施設として機能させるには不安です。ひと昔前なら改修を行っていたケースもありましたが、今はそうはしません。取り壊して別の場所に建てるとか、その施設はそのままにして避難所として有効な別の施設のメンテナンスに注力した上で、避難するルートを変更するなど、コストをかけるべき手法を色々と考えます。災害を視野に入れるのと入れないのとでは、公共施設の維持管理の仕方が変わるのです。

— 「地方創生」だと、どのような事例がありますか?

天野:そうですね。たとえばある地方都市に5つの商店街があったとします。すべてを活性化させられるに越したことはないのですが、そのまちの課題でもある人口の減少に向き合った場合、「コンパクトシティ化」というテーマは避けて通れません。そのため、いくつかの商店街だけを取り上げて特別な策を打ち、ほかの商店街は現状維持のままという判断も一つの策としてなされるわけです。

— 「新規でつくる」よりも、既存の施設の維持管理を対象とした事例が多いのも、冒頭にあった「先人が造ってきた資本をいかに維持するか」という時代に突入しているからですね。

天野:その通りです。ひと昔前ならまず、このような事例は出てきませんでした。「新たに、どんな街をつくろうか?」というスタートラインがほとんどだったのです。けれども現在は、「何を残し、何を壊し、災害に強く、人口減少にも太刀打ちできる街として最適にするか」という方向にシフトしています。2011年の大震災を経験して、ものすごいスピードで復旧・復興に取り組む中で、より一層「防災・減災」の課題が浮き彫りとなってきた証でもあります。維持管理の計画(正式には「公共施設等総合管理計画」)は「防災・減災」「地方創生」と並んで、今の日本の政策の柱となっています。

— 建設コンサルタントとして、求められていることを教えてください。

天野:建設コンサルタントは、土木事業の初期段階である企画立案から深く携わり、出来上がった後の施設の補修まで、全体を通して専門家として関わる存在です。これからはさらに、科学的知見を蓄積し、それを発信できるシビルエンジニア(土木技術者)として、技術的な課題を解決していくことが求められています。

もう一つ。重要な役目があります。それは「地域住民の中に入り込んでいくこと」です。既存のインフラに慣れ親しんだ人の多くは、維持管理に対する理解が希薄であるケースも少なくありません。土木技術者である私たちが、将来の街のあるべき姿と、そこに至るための道筋を、住民が理解できる形で率先して示していく必要があります。一方的に情報を伝えるのではなく、何が必要なのかを住民と一緒になって考えるエンジニアの存在が、これからの時代は不可欠です。

— 最後に。中央コンサルタンツという会社が、社会に対して提示できることは何でしょうか。

天野:「防災・減災」を重要なテーマとした土木事業に関わっていることはもとより、4つの部門を主軸とした幅広い事業領域と、北海道から九州まで全国に6つの拠点を持っていることにより、地域に密着しながら日本の国土を守る社会資本整備に貢献しています。

私たちが手がける4つの部門とは「構造」「交通」「水環境」「都市整備」。そのどれもが、「防災・減災」や「地方創生」という大きなミッションと、密接につながっています。一連の社会資本整備のすべてを担う建設コンサルタント。その中でも、幅広く様々な業務を、色々な地域で経験できることは、より社会への貢献度が高い土木技術者を目指したい人にとっては刺激的な環境ではないでしょうか。

これを読んでくださっているあなたご自身は、土木の世界で何を担い、何を成したいですか?ぜひ聞かせてください。もしもそれが、私たちが掲げるミッションと一致するならば、全力であなたの夢を応援したいと思っています。

取締役 天野 清光

1986年入社。大学の恩師から建設コンサルタントの仕事について詳しく話を聞く中で「区画整理」の仕事に興味を持ち、地元企業だった中央コンサルタンツを選ぶ。入社以来、一貫してまちづくり系の部署を渡り歩いてきた。都市計画のエキスパート。大阪、東京、名古屋で支店長を経験。

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